飾り棚とは?使い方・お手入れ・置く場所など
◎飾り棚(かざりだな)とは。
棚(たな)とは、「板を平らにかけ渡して物をのせるところ(広辞苑)」。
戸棚・書棚・茶棚など、移動が可能なものは、置き棚とも呼ばれます。
他に、壁に取り付け型の棚(移動は不可)もあります。下駄箱や台所の収納棚など。
限られたスペースを、有効に使うためにも棚は便利です。日曜大工で本棚をつくる、物置に収納棚をつくるなど、手作りの物もありますね。
実用的に物を収納したり、のせたり置いたりする(収納のための家具)以外に、大切なものや美しいものを飾り置くために用いられるものがあり、これを飾り棚と呼びます。
また、棚自体が部屋の飾りになるような、美しい飾り棚もあります。
西洋風のアンティーク家具の飾り棚や、紫檀黒檀などの銘木でつくられた飾り棚、籐で編まれたものや大理石・ガラスを使った飾り棚など。
美しい飾り棚には、収納の他に、部屋の雰囲気を変える、季節感を演出する、空間に視線の集まる場所をつくるなどの視覚的な効果と、めでる楽しみ、お手入れの楽しみなど、暮らしを豊かにする効果があります。
輪島塗では、棚そのものに美しい装飾(蒔絵や沈金、変わり塗りなど)を施し、棚そのものが座敷や居間・玄関などの飾りになるように作られた、飾り棚が作られています。
棚の機能性(収納)と、装飾性を兼ね備えたものが「飾り棚」です。
◎飾り棚のかたち
飾り棚の形は様々で、仕様により使い方も色々、収納力も違います。
また、つくりによって、仕事の手間が違いますので、価格も変わります。
〇飾り棚の上部に戸棚がある
飾り棚の上部に戸棚があるものは、収納力が高く、扉が多い棚は扉にも模様を描くことが出来るので装飾性も高い飾り棚といえます。
戸棚(天袋)の扉は、引き戸※が2枚のものと4枚のものがあり、輪島塗は部品が多いほど手間がかかりますので、扉が4枚の方が、贅沢なつくりといえます。
上部に戸棚(天袋)がある飾り棚は、和室に作られる「違い棚」を模して作られていますので、他の部分も格調高く重厚な雰囲気に仕上げられています。
中段にも戸棚や棚を設け、開き戸※や、けん戸※の扉、欄間(らんま)、引出などがついています。
この飾り棚を置く場所は、和室はもちろんのこと、「違い棚」の代わりとして、和室以外の部屋や空間にも置いて、あらたまった和式のしつらえとしてお使い頂きたいものです。
※引き戸(ひきど)とは、ふすまや障子などのように、さん(レール)の上を滑らせて開ける戸のことです。開けると半分が重なる(4枚戸の場合は開けると2枚分の面積で出し入れできる)のですが、開けても美しい模様は見えますね。(戸の取り外しは可能です)
※開き戸(ひらきど)とは、扉に持ち手がついていて、前方に引いて開く戸のこと。戸の面積全部が開いて、出し入れが楽にできます。持ち手や可動部分に金具が使われている事が多く、凝った細工の金具を用いたものは、美しい飾りにもなっています。
※けん戸(けんど)とは、扉のつまみを持ち上げて、扉の下部分を手前にひいてはずし、扉の上を完全に外して開ける戸のこと。開口部が広いが、開け閉めに手間がかかる為、頻繁に出し入れしないものを入れる事が多いです。持ち手に金具が使われている事が多く、凝った細工の金具を用いたものは、美しい飾りにもなっています。
〇柱の形や数
〇棚板の形について
〇引出(ひきだし)
置く場所によっても形や大きさを考慮して選ばれています。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役