花器 手桶型・鷺(さぎ)蒔絵は、漆で表現できない真っ白を卵殻で描いた花器
漆の白は、できないことはありませんが、絵の具のように真っ白ではありません。
漆はもともと、透明ではなく、茶褐色です。
そのために漆で白を作っても、真っ白でなく茶色がかった色味になります。
鷺の美しい白を表現するために、白い卵の殻(卵殻)を
細かく砕いて貼りこみました。
大変根気のいる、高い技術が表現した、白い鷺をご堪能下さい。
鷺(さぎ)は、「路を示す鳥」といわれ、「一路栄華・一路功名」を意味します。
卵の殻(卵殻)とはいえ、肉厚でおおづくりなニワトリの卵は
使えません。
使用するのは、「うずらの卵」。
しかしこのうずらの卵は、表面が迷彩色で、きれいに磨いても
真白になるのは10のうち3個くらいだそうです。
こうして丁寧に準備した卵殻を、貼るのも大変です。
貼り方により絵の雰囲気が変わってしまうので、
竹ぐしで、配置してみたりずらしたりして見ながらバランスを考えながら
貼っていきます。細かい細かい作業の繰り返しです。
水汲みに使われる手桶の形を活かした手桶型の花器は、
手で持つ部分が特徴の存在感のある花器です。
手の部分は、窓や額縁の役割もあります。
漆黒の額縁は、生けられる花をぐっと引き立て、
床の間や玄関に似合う、絵になる花になります。
花器 手桶型のお手入れは、柔らかい布で拭いてください。
水洗い・水拭きも、もちろん大丈夫です。
輪島塗が一番苦手なのは、紫外線です。
紫外線にあたり続けると、漆は変質し、劣化します。
直射日光のあたる場所には長くおかないでくださいね。
長い間仕舞われる場合は、乾燥が苦手ですので、
部屋の乾燥しにくい、低い場所に、保管してください。
しかし、どんなに気をつけていても、
長い年月ご愛用いただくうち、使い傷はどうしてもついてしまいます。
使いなじんできただけに、修理して使い続けたいものです。
そんな時は、お気軽に修理のご相談を。
傷に応じて、御見積のうえ修理致します。
本堅地の輪島塗は、丈夫な下地に塗り重ねた輪島塗だからこそ、
痛みの度合いに応じて、工程をさかのぼって修理ができます。
輪島塗は、約600年の歴史を持つ、JAPANとも呼ばれる漆器の最高峰です。
その工程は、23工程・124以上の手数を経て作り出され、
堅牢さと優美さを兼ね備えた日本の誇る伝統工芸です。
600年の歴史は、脈々と今日に受け継がれ、数多くの職人達の腕に宿っています。
花器 手桶型 黒・鷺(さぎ)蒔絵 直径11 高さ52cm 440,000円(税込)
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役