棗(なつめ)研ぎ出し蒔絵吹き寄せ春秋の図は、秋の風情と桜を共に描いた棗
研ぎ出し蒔絵吹き寄せ春秋の図は、
秋の風情と春の桜を、共に描いた棗です。
風に吹き寄せられた紅葉や銀杏の葉、
どんぐりや松葉に混じって、
春の桜の花が描かれている様は、
本来なら見ることのできない、絵の中の架空の世界。
遊び心が感じられます。
蒔絵には様々な技法がありますが、
この棗・研ぎ出し蒔絵研ぎ出し蒔絵吹き寄せ春秋の図は、
研ぎ出し蒔絵の技法を活かして仕上げられています。
研ぎ出し蒔絵とは
通常の蒔絵は、筆に漆をつけて絵を描き、金を蒔きます。
研ぎ出し蒔絵の場合は、通常の蒔絵の後、絵を含む全体に漆を塗りこみ
丁寧に研ぎ出します。
研ぎ出し蒔絵は、大変高度な技術で、
塗面(衝立の黒い部分)と蒔絵の段差がなくなります。
棗をそっと撫でてみて頂くと、よくわかります。
落ち着いた風情の棗です。
棗の内側は、華やかな雰囲気の梨子地仕上げです。
梨子地(なしじ)とは
粗い金粉や錫粉を塗面に蒔いて漆を塗り込んで研ぎ、
磨き上げる輪島塗の技法です。
金粉や錫粉が立ったり寝たりしているので、
光の当たり具合によって、きらきらと美しく輝きます。
梨の実の細かい斑点の風合いが、名前の由来です。
棗(なつめ)のお手入れは、柔らかい布で拭いてください。
水洗い・水拭きも、もちろん大丈夫です。
輪島塗が一番苦手なのは、紫外線です。
紫外線にあたり続けると、漆は変質し、劣化します。
直射日光のあたる場所には長くおかないでくださいね。
長い間仕舞われる場合は、乾燥が苦手ですので、
部屋の乾燥しにくい、低い場所に、保管してください。
棗(なつめ)研ぎ出し蒔絵吹き寄せ春秋の図
内梨子地 2寸4分 913,000円(税込)
輪島漆器大雅堂のショッピングサイトはこちらです。http://www.wajimanuri.net/
◎棗の修理につきまして
大切にお使いいただいている棗(なつめ)でも、
長い年月ご愛用いただくうち、使い傷はどうしてもついてしまいます。
使いなじんできただけに、修理して使い続けたいものです。
そんな時は、お気軽に修理のご相談を。
傷に応じて、御見積のうえ修理致します。
棗(なつめ)が、塗り直してしまうほどになった場合は、
その際に思い切ってリフォームという方法もあります。
棗(なつめ)の、模様を変えたり、色を変えたり、いかようにもできます。
また新たな気持ちで、お使いいただけます。
お気軽にご相談くださいませ。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役