タモリのブラタモリが、能登へ、輪島へやってきた!
NHKの超人気番組であるタモリの「ブラタモリ」が、能登へ、輪島へ取材に訪れていたらしいんです。
そういえば、まだ、こんなに暑くなかった頃に、「タモリさんを見かけた!」という話を聞いたことがありましたが、ブラタモリの撮影だったとは!
タモリさんのブラタモリなら、普通の観光では見られない場所や、変わった視点からの取材があり興味深い番組ですが、さて輪島のどこを掘り下げて紹介してくれるのだろう、、、と今から放送を楽しみにしています。(7月16日土曜日→能登半島、7月23日土曜日→輪島 の2週にわたる放送)
案外地味なイメージ(笑)の、能登や輪島の素晴らしいところを、沢山の方々に紹介してくれることと思います!
タモリさんも、青い海や、豊かな自然をはじめ、沢山の見どころがいっぱいの能登、輪島を満喫してくださっていたら嬉しいです。
そこで、輪島漆器大雅堂の「輪島のおすすめ取材箇所」を勝手に考えてみました(笑)
輪島塗についてなら、まず地の粉山か
輪島塗についての特集もあってほしいな―――
きっとブラタモリでも、輪島塗の事は取材してくださっていると思いますが、ここでは勝手に、輪島漆器大雅堂が全国に伝えて頂きたい輪島塗関係の見どころ(笑)をご紹介しようと思います。
まずは、地の粉山。じのこやま、と読みます。
輪島塗の制作に欠かせない、大切な地の粉が産出されている山です。
地の粉は、珪藻土(けいそうど)です。
輪島塗の下地の際に、段階的に粗さを変えた地の粉を漆に混ぜることにより、輪島塗特有の堅牢さが生まれます。
珪藻土を乾燥したり焼いたり細かくしたりと、独特の加工をすることで、輪島地の粉になります。
専門的に詳しく解説いたしますと、
地の粉(珪藻土)の特質は、主成分である珪殻(けいがい)が、ガラス質であるため、酸に対して強い。
また、珪殻(けいがい)は、微小な殻孔が多数あるために、断熱性・ろ過性・吸収性があり、漆に混ぜて使用することにより輪島塗は、珪藻土の特質を十分に発揮する。
その上、木地にも大変密着しやすくなる。←この化学的な話は、タモリさんが絶対興味があると思うんです!
6月の漆祖祭は、塗師屋の大切な祭り
私たち輪島塗に携わる者は、この地の粉をとても大切にしています。
限られた資源のために、輪島の組合員以外は、入手できません。
輪島漆器商工業協同組合では、6月に、「漆祖祭」を執り行い、先人の知恵と恵に感謝し、輪島塗を守り伝える決意を新たにします。
祭りの様子はこんな感じです。
2番目は、輪島市最古の輪島塗「重蔵神社の本殿内陣の扉」
輪島の朝市通りをいろは橋方面から、海の幸や山の幸、土産物店を眺めながら通っていって、ずーーっといった突き当りに緑の木々に囲まれた、重蔵神社があります。
能登半島地震で倒壊してしまった石造りの鳥居が、近年ようやく新設され、場所を変えて設置され、輪島市民はとても喜んでいます。
この輪島市河井町の重蔵神社にある内陣の扉は、現存する最古の輪島塗で、輪島市指定文化財です←ブラタモリ的に、興味ありそうです――
輪島市最古の漆工芸「重蔵神社本殿内陣の扉」
永仁四年(1296年)に神社の本殿は建造され、百年後の応永四年(1397年)に本殿内陣の扉に朱塗りが施されました。
しかし海から吹き上げる潮風で破損が甚だしく、明和五年(1768年)に塗師松本屋弥平次の手により、塗り替えられました。
文献によれば、江戸時代中頃には輪島にかなりの塗師が存在し、漆器産地を形成していたことがわかります。
本殿は明治四十三年(1910年)の大火で焼失。
しかしどういうわけか、この扉だけが輪島湾の海中に漂っているのを氏子が発見し、拾い上げ、翌明治四十四年に再建された本殿に使用され、今日に至っています。
最古の輪島塗・重蔵神社内陣の扉(重蔵神社HPより抜粋)
次は、輪島塗会館の輪島塗資料館!
輪島塗会館は、輪島漆器商工業協同組合の事務所・売店・資料館のある建物です。
老朽化と地震対策等のために近年建て替えられた輪島塗会館は、ガラス張りで明るい今風な、素敵な建物です。
駐車場は、朝市観光に至便で、入り口横の川沿いに坂を下っていくとすぐに朝市です。朝市とセットでご覧ください(笑)
輪島塗会館の2階の、輪島塗資料展示室が資料館(有料)です。
輪島塗資料展示室は、国の有形民俗文化財に指定されている貴重な作品をはじめ、塗師道具など輪島塗に関する歴史民俗資料計3804点を保有・展示する日本唯一の資料館です。
入り口には、輪島塗の工程を順に施した、輪島塗椀が、壁じゅうに設置されていて、見事です。美しいです。←私の写真では伝わりませんが、ブラタモリなら美しく撮影してくれると思うのですがーー
輪島塗の製造工程はもちろん、輪島塗を作る道具(弊社の倉庫にあった昔の道具もお役に立っています)や、輪島塗の歴史、先人の優れた輪島塗の数々、そして漆の神様の虚空蔵菩薩様が安置され、輪島塗の神輿も展示されています。
なぜ?虚空蔵菩薩様が? 安置されているいわれは、ぜひ輪島塗会館でご覧ください。
世界でただ一つの漆芸専門の美術館・石川県輪島漆芸美術館
石川県輪島漆芸美術館は、常時漆芸品を展示している漆芸専門の美術館で、1991(平成3)年、日本を代表する伝統工芸「輪島塗」の産地である輪島市に開館しました。
明るい大きなガラス窓から中を眺めながら美術館の入り口を入ると、沈金の装飾を施したグランドピアノが展示。
売店には若手作家の作品の活動を助けるための、作品販売もあります。
外の景色を眺めながら階段を上がって2階には、展示室1・2・3・4 と、映像視聴覚・図書閲覧コーナーがあり、輪島塗や漆芸に関することを映像や図書で学ぶことができます。
熱中してみていると、時間があっという間に過ぎていきます(笑)
期間により、体験や音楽界などのイベントも開催、街に溶け込んだ美術館です。
石川県輪島漆芸美術館の友の会には、輪島市内だけでなく、市外の方も含め沢山の会員がおり、美術や芸術に触れる旅行や、美術館でのイベント、特別展の案内などのお知らせが届きます。芸術好きの方にはお勧めです。
小さい輪島に、人間国宝が現在は3人
伝統工芸の盛んな石川県では、全国第1位の数※を誇る9名の方が人間国宝(工芸部門)に指定されています。※人口100万人あたり(H28.1.1現在)
その中で、前史雄(沈金)・小森邦衛(髹漆)・山岸一男(沈金)の3方が、輪島塗の名人です!
石川県輪島漆芸美術館では、機会があるごとに人間国宝の作品を展示したり、作品解説や、お話しする機会が設けられています(素晴らしい!)
そして、3方の中の、小森邦衛(髹漆)先生は、石川県輪島漆芸美術館の館長であります。
現在は、3方ですが、これまでには、前大峰(沈金)・塩多慶四郎(髹漆)もおられました。大変誇らしく嬉しく思います。
朝ドラ「まれ」の主人公が暮らした海辺の町へ続く、くねくね道
私としては、このポイントも、ぜひ紹介してほしい!
2015年(平成27年)のNHKの朝ドラ「まれ」の主人公(女優の土屋太鳳さん)が暮らした小さな海辺の町、輪島市西保・大沢町。
そのころは、大型バスも見学に訪れるほどの人気で、大変にぎやかに盛り上がっていました。
現在は、元の静かな海辺の町ですが、そこへ行くまでの道が、細くてくねくね道なんです!
片方は山、片方は海へ続く崖! 車一台が通るのがやっとの区間もあるんです。スリル満点!←タモリさんもぜひ体験してほしい!!
路の両側に木が茂り、緑のトンネルになるところもあります。断崖から覗く日本海は、大変美しいですが、どうかよそ見はしないでくださいねーー
というわけで、勝手にブラタモリのタモリさんに、おすすめを書きましたが、もう取材は終わっているので(笑)、私のおすすめが取材されていて、放映されることを祈って番組を拝見します。
おのおのの詳しい説明は、こちらから
◎最古の輪島塗や輪島塗のこといろいろ(このページは座卓カバーの商品ページですが、なぜか、漆とは?からはじまって、漆の事を熱烈に書いていますので、ご参考ください)
◎2015年9月に書いたブログ記事に、輪島から車でまれの町まで行ったことを写真を交えて掲載していましたので、ご参考ください。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役