輪島塗香炉 山水蒔絵 1,870,000円(税込)
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香炉の形状は、あこだ型
阿古陀(あこだ)型は、阿古陀瓜(あこだうり)の丸くてカボチャのように花形に膨らんだ形に似せて作られています。
輪島塗香炉の本体は、もちろん天然木製です。
木でこの形状を成型するのは大変手間のかかる作業です。
そして香炉の形に合わせた純銀製のほや・おとしも、あこだ型用の、美しい曲線を活かしたものを香炉に合わせて手作りしてもらいます。
おとしは、木の香炉木地の中のくりに合わせて、ひとつひとつ手作りで花形に成型されています。
山水蒔絵とは、憧れの理想郷
山水蒔絵は、古来より好んで用いられている蒔絵で、人々の憧れる理想郷を描いています。
その郷愁を誘う、しかし未だ見たことのない様な不思議な美しさは、人々が古来より憧れて止まない理想郷の姿でもあります。
その理想郷にすむ人々は、美しい風景に囲まれ不老不死に恵まれ、幸せに暮らすといいます。
おめでたい松竹梅も描かれています。
松竹梅は、幸せを願う心をあらわす
松竹梅。
この三つの植物は、雨風や寒さに耐え抜く生命力の強さを持っています。
松は、常緑樹で古くから長寿のシンボルとされてきました。
竹は、常緑で成長も早いことから、生命力の盛んなしるしとして尊ばれてきました。
天に向かってまっすぐ伸びるその姿が、いかにも生命力の強さを連想させます。
ささと共に、魔除けの意味も有るとされ、神事にも多用されます。
梅は、早春の花で生命の息吹を感じさせます。古くから、知恵と悟りの花・神の叡智を呼ぶ花とされてきました。
松竹梅は、幸せを願う心をあらわすといえます。
蒔絵の技法と見どころ
まずは、使用されている金の分量が多いことに目が行きます。
金色の部分は、平蒔絵、高蒔絵、梨子地など、金をふんだんに使用して豪華に仕上げられています。
金は、24金の切り金(四角く切って貼り付けている部分)をはじめ、純金を使用しています。
切り金は、金箔よりももっと厚みのある板状の金を小さな形に切ったもので、金粉とは違った輝きがありますね。
黒い部分も実はきらきら
香炉の背景は、黒ではなく、塗り面に金を薄く蒔くと同時に細かく砕いた貝も蒔き、
漆で固着させ表面を平面にします。
漆が硬化したら、金や貝が見えるように、炭で研ぎだします。
指で触ると、金や貝はキラキラしていますが、面は均一で凸凹はありません。
貝を、どうやって貼っているか
香炉の青く輝いて見える部分(あづま屋の窓)には、貝が貼られています。
螺鈿(らでん)という技法で、漆で貝を貼っています。
螺鈿に使う貝は、あわび貝などの貝の層を薄く剥がして、使用しています。
香炉の形は曲面ですので、薄くても堅い貝をそのまま貼ることはできず、細く切って丸みに合わせるようにして一枚一枚貼り付けていきます。
局面に細い貝を貼ってあることで、貝の角度が変わり、一層輝いて見えています。
実は、夜空を見るような、凝った演出の蒔絵
香炉の背景は、漆黒に、遠く星がきらめく夜空を思わせる風情。
理想郷にひっそりとたたずむあずま屋の格子ごしに、夜空の星の輝きがこぼれ見えるような螺鈿細工。
月は?
丸い月を描かなくても、山々の輪郭に貼り込まれた切金が、明るく照らす満月の照り返しを表現しています。
輪島塗香炉 山水蒔絵
切り金は、同じく見えても別の技法で貼られている
山々に貼られた切金は、一枚一枚漆で丁寧に貼り付けられているのですが、
山を書き終わってから貼るのではなく、山を描いている中で切金を並べて貼り、漆を塗り、研いで四角く研ぎだすという高度な技術で仕上げられています。
ですので、手で触ってみると、四角い切金は山と面一で、指にひっかかりません。
他方、あづま屋に貼ってある切金は、上から貼ってあるので、切り金が一段盛り上がっていますよ。
これは、ぜひ、お手に取って確かめて頂きたいです。
香炉は、香を焚く道具です。
お好きなお香をたいて、お客様を迎えたり、気分を一新したり。
この香炉は豪華に青貝や金の装飾がある輪島塗ですが、飾るだけではなく、れっきとした実用品です。
存分にお使いください。
ほや・おとしは、
重厚な蒔絵をひきたてる美しさですが、もちろん飾りではなく、使用に耐える実用品です。
お好きな芳しい香りを焚いて、ご使用下さい。
取り外しができ、手入れも簡単です。
艶々と美しい輪島塗・豪華蒔絵の香炉。
輪島塗は、可愛がっていただくほどに、艶が増し、美しくなっていきます。
日常のお手入れは、柔らかい布でそっと拭いて下さい。
長い年月がたち、艶がうせたり、もしも傷がついたりした場合は、どうぞ輪島の産地へ修理メンテナンスにお預け下さい。
美しくよみがえり、また気持ちよく、末永くご愛用いただけます。
輪島塗香炉・山水蒔絵 1,870,000円(税込)
寸法:10.5×10.5cm 高さ9.5cm
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落札結果
410,000円 富山県 S.Mさま
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役