衝立 鉄線蒔絵は、色鮮やかな鉄線とかれんな水仙が競い咲きの衝立
夏の花・鉄線と、冬の花・水仙。
季節の違う花が、同じ衝立に描かれている図は、
自然界では見られない不思議な光景です。
しかし、花に託された思いを知れば、家を飾る衝立に
この図を選んだ意味がわかります。
人の願いを美しい花にこめて、不思議な光景ともとれる
大胆な構図と、鮮やかな色彩で描いた鉄線蒔絵の衝立。
鉄線(てっせん)
鉄線は、鉄のように強いつるをもつ植物という意味です。
その優美な姿が、古来より大変好まれ、桃山時代頃から小袖や能装束に描かれてきました。
唐草文様になっているものも多く、連綿と続くイメージから
吉事が終わり無く続く・子孫繁栄などを表す吉祥文様です。
水仙(すいせん)
1月から2月にかけて花が咲く水仙。
新年の頃に満開になるため、新春の瑞兆花(ずいちょうか)とされています。
瑞兆とはおめでたい兆し(きざし)のこと。
また、水仙の仙は、天仙の仙ともいわれ、
不老不死の仙人を表し、長寿の象徴の吉祥花とされています。
まるで絵画のような蒔絵の色遣いは、琳派風。
漆でこの色合いを表現するのは、大変難しく、高度な技術が必要です。
この構図や色遣いは、独特で、なかなか真似の出来るものではありません。
作者は残念ながら他界され、新しく製作することができません。
大雅堂でも衝立は、この1本を残すのみとなりました。
この鉄線蒔絵の衝立の裏面は、黒塗で模様無しです。
衝立の両面をそれぞれ楽しむことができるので、季節や行事に合わせて
気分に合わせて、お客様に合わせて、さまざまにお使いいただけます。
また、花を飾られる場合は、裏面をお使いになれば、
衝立と花と両方が活かされることでしょう。
衝立は、玄関や広い空間の間仕切りなどに使われる家具です。
玄関に置かれるのは、玄関を開けた時に、
家の中が丸見えになってしまわないように、という奥ゆかしさからとか、
家の中に邪気が入るのを防ぐ・止める役目をする、と言われます。
輪島の家具は、全工程完全手作り家具です。 職人の技が随所にきらりと光ります。
輪島塗は、約600年の歴史を持つ、JAPANとも呼ばれる漆器の最高峰です。
その工程は、23工程・124以上の手数を経て作り出され、
堅牢さと優美さを兼ね備えた日本の誇る伝統工芸です。
600年の歴史は、脈々と今日に受け継がれ、数多くの職人達の腕に宿っています。
輪島塗衝立 鉄線蒔絵 W109.5×H107.5×D27cm 3,410,000円
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役