屠蘇器 花の丸蒔絵 968,000円(税込)
花の丸蒔絵の題材は、「四君子」
菊・梅・蘭・竹の四つの草木は、君子の持つ高潔な姿をあらわす、といわれ、色・形・香りが素晴らしく、気品や風格あるものとして、尊ばれてきました。
菊:長寿延命、不老長寿の効力があるとされる花
梅:寒さに耐え、春が来るのを真っ先に告げる
蘭:高貴な花といわれ、姿も美しく、長くもち、善人・王者の香りと称される
竹:常緑で成長も早いことから、生命力の盛んなしるし
花の丸の意匠は、美しい草木を丸く図案化して描いたもので、
「丸く収める」に通じる吉祥模様です。
お正月にぴったりの、縁起のいい華やかな模様ですね。
蒔絵は、色研ぎ出し(いろとぎだし)蒔絵です。
色研ぎ出し蒔絵の技法とは
金だけでなく、色鮮やかな色漆を用いた蒔絵の技法です。
(蒔絵「まきえ」とは、漆で描いて金を蒔きつける技法です)
まず、模様を漆で描いて粗い金粉を蒔き、金粉の固着の為に(通常は半透明の漆を塗りますが)代わりに色漆を塗ります。硬化した後、先に蒔いた金を研ぎ出します。
金の上部を半分ほど研ぎ出すと、色漆の間から金が見えるようになります。
研ぎ出し蒔絵は、見る角度によって、色漆が多く見えたり、金が多く見えたりして、大変表情が豊かな蒔絵です。高度な技術が生み出す、贅沢な楽しみですね。
※金の上部を半分研ぎ出す→これは金の色味が一番美しく見える分量で、ミクロの世界の話です。どうやってはかるかというと、職人さんの経験と勘でのみ、はかられます。
屠蘇器の形状は、胴張型です。
一辺の中央が外側にふっくらと広がる、手の込んだ細工「胴張型」。
縁の曲面は、ぶ厚い縁材をカンナで削り出して作られています。まっすぐな形よりも縁材が沢山必要で、手間のかかる、贅沢なつくりです。
上塗りのあと、呂色(ろいろ)という工程を経て生み出される、美しい艶。
呂色の工程は、上塗りの際に残るはけ目や、塗面に残った細かな空気中のちりなどを、炭で研いで凸凹をなくし、炭の跡を平らかにしていきます。
その後、漆を刷り込み手で磨く作業を数度繰り返して、美しい艶を出す工程です。
(上塗りが終わった段階では、塗り面はまるで鏡のようにぴかっと光るのではなく、蛍光灯がぼんやりと写りこむ、といった感じに仕上がっていて、その落ち着いた艶が茶の湯の道具などには好まれています。)
盃をのせる盃台は、日月型に窓をくってあります。
正面からは日が、横面からは月の窓が見えます。また、三日月は左右とも、次第に満ちて満月になる形、になっています。
日が昇り月が出る、また日が昇り、月が出る、、、平凡な毎日が続いていくことこそ幸せという意を表しています。
また、太陽は活力の象徴、月は静寂の象徴として、いずれもその輝きは人々の心をひきつけます。
新しい一年の始まりにふさわしい形状です。
屠蘇器は、お屠蘇を頂くための器です。では、お屠蘇(おとそ)とは?
屠蘇は、もともとは薬だったそうです。
山椒・大黄・白じゅつ・桔梗・細辛・乾姜・防風などを三角の紅の帛衣に入れて、酒やみりんに浸したものを言います。
唐の時代に医師が流行風邪のための薬として作ったものがおいしくて評判になり定着した、と言われます。
屠蘇(とそ)とは、「邪気を屠絶し、人魂を蘇生させる」ということで、
一年中の邪気を祓い延命長寿を願うために飲む酒です。
美しい蒔絵が、いっそう晴れやかな迎春の時を演出し、新しい一年の門出を幸多かれと祈念します。
お屠蘇を勧めるときは、盃台に盃をのせて差出し、一番上の盃を取ってもらい、銚子にてお屠蘇をそそぎます。
お屠蘇を頂いた後、盃は、指で拭くか、杯洗でさっとすすいで、もとの場所に戻します。
お屠蘇(銚子に入れる、のみもの)のつくり方
お屠蘇は、お正月が近くなると、乾燥した漢方薬のような香りの屠蘇の元が、薬局や酒店などで販売されています。
それを、お屠蘇を頂く前の晩に酒やみりんに浸しておいて使用します。
末永くご愛用頂きたい輪島塗の屠蘇器は、高価です。
しかし、その製法から、キズや割れ・欠けなどの不慮の事態でも
輪島の産地で修理すれば、また末永くお使い頂けます。
使い傷や、天然漆だからこその色褪せ・やけなども、
目立つようになりましたら、何かの機会(冠婚葬祭などや法事、新築など)に、輪島へ塗り直しに出してください。
新品のように美しく蘇って、また何年も何年も、気持ちよく末永くご愛用いただけます。
輪島塗は、修理やメンテナンスを繰り返しながら、存分にお使い頂きたい、また末永くご愛用頂きたい漆器です。
お屠蘇を頂いた後の屠蘇器は、特にお酒のついたところを良く洗って、小正月まで床の間や飾りやす場所に飾って、楽しんで下さい。
長らくお酒がついたままにしておくと、しみや、蓋・盃などがくっついてとれなくなる、など屠蘇器が痛みます。よく洗っておけば安心です。
輪島塗屠蘇器 花の丸蒔絵 (日月・胴張型)968,000円(税込)
寸法
屠蘇台:w40.3 D24.3 H6 cm
盃台:w13.7 D13.7 H14.5 cm
盃: 大:直径11 高さ3.7cm 中:直径9.1 高さ3cm 小:直径7.6 高さ2.5cm
銚子:直径12 高さ19 cm
落札価格の発表(平成29年11月15日締切ました)
380,000円 大阪府 I 様
沢山の入札を有難うございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役