祝盆 梅蒔絵 440,000円(税込)
落札価格の発表(平成30年9月25日締切ました)
81,001円 富山県 H.I 様
沢山の入札を有難うございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
祝盆 梅蒔絵
梅は、早春の花。
長い冬の後、我先にと可憐な花を咲かせる梅は、待ち焦がれた春・生命の息吹を感じさせます。
梅は、古くから、知恵と悟りの花・神の叡智を呼ぶ花とされてきました。
祝盆とは
祝盆とは、冠婚葬祭に使用される格式の高い盆の事です。
先様に金封(金銭を贈る時に用いる封筒包み)や、品物を差し上げる時に、使われます。
結婚に関する行事にも使われます(家紋入りもあります)。
祝盆と普通の盆(通い盆)、どこが違うのでしょうか?
特徴は、盆の形にあります。
盆は長四角で、縁の四辺の中央が外へ向けてふっくらと張り出している形です。
まっすぐな形に比べて雰囲気が柔らかく、上品な印象です。
曲面は、ぶ厚い縁材をカンナで削り出して作られています。まっすぐな形よりも縁材が沢山必要で、手間のかかる、贅沢なつくりです。
祝盆は、裏面が特別な形になっています。
塵居(ちりい)
塵居(ちりい)という、上面に向かって緩やかに盛り上がる手の込んだ、贅沢なつくりの、高級な箱物に用いられる木地の造型の技法。
角が直線と曲面になっているので、通常の平面と比べると光の反射具合が違い、漆の美しさを引き立てます。
なぜ、祝盆はこのような凝った形状になっているのでしょうか?
このような手間のかかる仕上げを施すと、必然的に金額も高価になるのに、と思いますよねー。
その理由は、昔、お殿様が、功績をあげた家臣に褒美を取らせる際に、手元にあった美しい立派な作りの飾箱のふたをとり、裏返して褒美をのせ、敬意を表してこれをとらせた、という所から来ています。
現在は、箱物の蓋を使うことはなく、専用の祝盆が作られていますが、先の名残が残り、祝盆の形は、立派な箱物の蓋を模している、ということなのです。
色鮮やかな蒔絵は、色研ぎ出し技法
色研ぎ出し蒔絵とは
まず、模様を漆で描いて粗い金粉を蒔き、金粉の固着の為に(通常は半透明の漆を塗りますが代わりに)色漆を塗ります。
硬化した後、先に蒔いた金を研ぎ出します。
金の上部を半分ほど研ぎ出すと、色漆の間から金が見えるようになります。
研ぎ出し蒔絵は、見る角度によって、色漆が多く見えたり、金が多く見えたりして、大変表情が豊かな蒔絵です。高度な技術が生み出す、贅沢な楽しみですね。
色研ぎ出し蒔絵で葉を描き、漆が硬化してから、新たに漆で花芯を描いて金を蒔き、仕上げています。
つぼみも同じ技法です。
色漆と金が、見え隠れする様子が見られます。
この細やかな技術が、見る角度により、金に見えたり、緑や青に見えたりする理由です。
琳派風の蒔絵
この梅蒔絵は、美しい色使い、色の表現の仕方(花や枝のぼかしの風合い)、モダンな構図は、尾形光琳の琳派風の草花を意識して、蒔絵の技法を駆使して描かれたものです。
尾形光琳は、江戸時代の絵師であり、工芸家でもあります。また、琳派を代表する絵師であります。
琳派は、江戸時代の初めに、画家・俵屋宗達にはじまり、およそ80年後に尾形光琳が再発見、またその100年後に坂井抱一へと受け継がれた芸術の一派の事です。
琳派の絵師たちは、生活に用いられる数多くの日用品を彩る装飾美・様々な生活品の意匠も考案しました。
現代の蒔絵にも、江戸時代からの琳派風の装飾美(豪奢・洗練・洒脱)が、脈々と息づいています。
お家の大切な場面に活躍する美しい蒔絵の祝盆。
輪島塗 祝盆 梅蒔絵 440,000円(税込)
寸法:幅41.7 奥行29.5 高さ3cm
蒔絵は、桜井 一良。
落札価格の発表(平成30年9月25日締切ました)
81,001円 富山県 H.I 様
沢山の入札を有難うございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役