輪島塗・宝石箱用の箱・万年筆ケース
これは一体何の箱?輪島塗りのはこ。
美しい溜塗りで、全体に沈黒(ちんこく)を施した美しい箱。これは、一体何の箱でしょうか?
輪島塗の箱は、大変種類が多いものです。
実はこれは、輪島塗・宝石箱用の箱でした。現在でも宝石箱として輪島塗に仕上げ蒔絵や沈金を施して販売致しております。
宝石箱の中は、ビロードを張り込み、大切な宝石や時計・アクセサリーと輪島塗が共にキズつかないように工夫しています。また、見た目も美しいです。
さて、それではこの写真の箱は何の箱?
この箱は、「ペンケース(万年筆入れ)」です。中には写真のように、万年筆を保護ケースごと3本収納することが出来ます。
ペンケースは、机上を彩るアクセサリーの一つでもあります。
しかし、万年筆より目立つことなく、どんな机やお部屋にも合うように、上品で落ち着いた印象のペンケースが良いと思いました。
そこでこのペンケースには、輪島の技が駆使された溜塗りの箱に、宝相華(ほうそうげ)を全体に沈黒致しました。
宝相華(ほうそうげ)とは、牡丹、蓮、石榴などのいろいろな植物の要素を組み合わせて作られた空想の花です。
沈黒(ちんこく)とは、輪島独特の加飾の技・沈金の一種で、のみで塗の表面に模様を彫り、金の替わりに黒を埋める(沈める)技法のことです。
大変上品な印象ですが、そばちかくでご覧頂きますと、沈刻の模様の緻密さと艶やかさに驚かれることでしょう。(写真をクリックすると拡大写真が出ます)
輪島塗のペンケースは、ペンケース自体がデスクワークを楽しくさせるものです。
そして、コレクションケースとしても充分の美しさと機能性を備えています。
このペンケースが、机上にそっと置かれている場面を想像してください。
お客様はきっと気が付かれることでしょう。
しかし、「あの箱は一体何の箱だろう?」と思われるに違い有りません。
上品な光沢を放つ美しい箱に、「これは輪島塗のペンケースなのですよ」と会話がはずんだりして、、、。
この輪島塗ペンケースには、うっとり眺める時間も、ゆっくり磨く時間も付いてきます。
万年筆(まんねんひつ)。
パソコンやメールが普及して、字を書く機会が減ってきています。
日本には、はんこという優れものがあり、外国のように書類や手紙にサインするという習慣もありません。
ボールペンのように、複写に適している・一定の太さに書くことが出来るという、便利な物もあります。
しかし、手書きの文字の温かみが見直されています。
万年筆で書くことの味が、個性を表現することができるから、でしょうか。
蒔絵の万年筆も人気が高まっています。
筆記用具としてだけでなく、蒔絵を楽しむために、お求めになる方が増えています。
昔、印籠のコレクションが「粋」だったように。
輪島塗は高級で扱いにくい、決まり物だけだ、とお思いの方が多いと思いますが、使い方に決まりは有りません。思いつく限り、有効にお使い廻し頂くのが、うまい使い方だと思います。
輪島塗は、もともと全てが手作りです。全てが一点ものですので、「自分だけの輪島塗・世界でただ一つの輪島塗」が、思ったより簡単に出来てしまうのです。
【商品データ】
寸法 W21.5 D12 H10 cm
素材 天然木 布着本堅地輪島塗
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役