矢立て(やたて)菊づくし蒔絵

その昔、武士が戦場で矢を立てて運んだ道具に帷子(かたびら)がある。

その帷子の中に入れて持ち歩いた硯を「矢立て(やたて)の硯」と言ったところから、携帯用の硯・筆をセットにし便利に改良された物を「矢立て(やたて)」と言うようになりました。

この、矢立て(やたて)を見た方に「この矢立ては、どうやって作ったのだろう」と、思って頂けたらおもしろいな、と、思います。

まず、形状から考えはじめ、一番苦心したのは、矢立てのふたがしっっかり開いてスムーズに筆を取り出すことが出来るようにするところです。

矢立てのふたを本体に止める部分を、試行錯誤の末に、開ける時はしっかり開き、閉じたときは不意に開かないようにいたしました。

矢立ての中にセットした筆は、象牙で特注致しました。輪島塗の蒔絵に負けないように。

矢立ては、商売繁盛や、字がうまくなりますようにとの願いを込めての飾り物に、また、女性のために紅筆ケースとして、お使い頂きたい逸品です。

満開の桜を愛でながら、この矢立手を片手に、さらさらとうたを詠んで頂けたら、素晴らしいだろうな~と思います。

こんな、ちょっと変わった、一工夫した輪島塗を考えて考えて作るのが社長の楽しみです。
社長をう~んとうならせる、無理難題の輪島塗の特注がきたら、社長は、待ってましたとばかりに小鼻をふくらませ喜びます。

漆器はいいですね。環境にも人にも優しい、そしてあたたかい。
漆(うるし)をもっと身近に感じて欲しい。輪島漆器大雅堂(株)の願いです。