3~40年物の輪島塗飾り棚が、洋風のお宅にもぴったりで驚きました

2022/05/27 (金)

ご両親の形見分けに頂いたという、3~40年前に作られたであろう輪島塗飾り棚を拝見してきました。

その飾り棚が、どうして3~40年前に作られたものと思ったかというと、ちょうどそのころに大変ご活躍だった蒔絵師の先生の、有名な得意柄だったからです。

その蒔絵は、美しい花模様で、黒塗りに豪華な金梨子地を施した背景に描かれていました。

蒔絵のない棚の上段や違い棚の部分も、梨子地が施されており、大変贅沢な豪華な仕様の飾り棚でした。

飾り棚が置かれていた立派な座敷は、美しく手入れされた中庭に面しており、飾り棚の背面が障子戸ごしですが、中庭からの日差しに照らされ、残念ながら表面の漆がずいぶんと劣化していました。(漆は、紫外線にはとても弱いのです。)

しかし飾り棚の全面は、劣化してはおりましたが背面ほどではなく、制作当初のきらびやかな輝きは無くても、美しく年月を重ねた落ち着いた風合いとなっていました。

その飾り棚は、モダンなデザインの素敵な洋風住宅の、玄関に置かれました。
ご主人さまが漆について勉強してくださり、玄関が一日を通じて、一番直射日光の影響が少ないだろうとの事でした。

玄関の扉を開けると、正面に輪島塗飾り棚がある、という、なんとも贅沢なしつらえになりました。

訪れたお客様は、飾り棚との出会いに、きっととても驚かれることでしょう!

畳や塗りの柱は無く、色も形状も大変モダンなデザインの玄関に、3~40年物の飾り棚がとても似合っていて、私も驚きました。

ご家族の皆様も、昔懐かしいご実家の思い出話に花が咲き、嬉しそうに眺めておいでました。

こうして代々受け継いでお使いいただけることは、私共塗師屋にとって最高の喜びでございます。

末永くご愛用くださいませ。