2016/07/22 (金)
輪島塗屏風・川原の図は、輪島塗では珍しい白い屏風です。
白とはいえ、絵の具のように真っ白ではありません。
漆はもともと、透明ではなく、茶褐色です。
そのために漆で白を作っても、真っ白でなく写真のような感じになります。
白の漆を塗りたてよりも、月日がたったほうが、より白くなります。
漆は時とともに透明度が増していくからです。
真っ白を表現する場合には、卵殻を使用します。
乾漆(かんしつ)仕上げですので、表面は少しざらざらする感じで、御椀や重箱のようにつやつや・ピカピカではなく、落ち着いた趣です。
乾漆は、漆を乾かして粉にしたものを蒔き、固着させる技法ですが、この漆の粉を、色を変えたり、濃淡をつけたりと蒔き分けて模様を描き出しています。
ごつごつした岩や、石が、川原を連想させる、夏には涼しげな印象の屏風です。