この黄色いような茶色いような、もじゃもじゃしたものは、「えご」
「えご」という海藻を干したものです。
どんな字を書くのかは、知りませんー。
寒天のように煮溶かして、固めて、冷やして食べます。
中に、砂糖入りの甘いもの、卵を流し込んで甘く味付けしたもの、コーヒーを入れてコーヒーゼリーのようにしたもの、あんこを入れて水ようかんのようにしたものなど、
様々に工夫されて、食されています。
輪島の海岸沿いでは、夏のいい天気の日に外に干してある「てんぐさ」や「えご」を、子供のころから良く見ていました。
えごは、天草(てんぐさ)の輪島弁かと思っていましたが、別物だそうです。
なので、できあがったものは、ところてんとは、似て非なるもの。
勉強になりましたw
どうして「えご」が、手元にあるのかというと、
昨日、ごみの日で、家の前にごみのカゴを出し、次にごみ袋を持ってきてカゴに入れようとしていたら、
「奥さん、盆に食べるえご、こうて」と、声をかけられた。
見ると、小さいバイクにまたがった、おじいちゃん。
振り売りだ。
輪島には、リヤカーや軽自動車のトラックなどで、魚や野菜を売りに来る「振り売り」のおばちゃんたちが沢山いて、家の前で買い物が済んでしまうことがある。
「盆に食べる えご、こうてくだ」(訳:盆に食べるための えご、買ってちょうだい)
えご???
食べたことはありますが、作ったことなど一度もありません(お恥ずかしい)
「とんでもない!そんな難しそうなの、作ったことがないから、いらない」
と、私は即座に言いましたが、おじいちゃんは聞こえたのか聞こえないのか、まったく無視して作り方や、食べ方を私に説明します(笑)
その日も外は、午前八時頃とはいえ、連日の猛暑で朝から暑くて暑くて、
「わかったから、ちょっと日陰に入って。暑いもの」
「おとうさん、どっからおいでたの?」
おじいちゃんは、まれの里の近くから来たと言いました。
あっついいいのに、売れるまで帰れないよねーー、きっと。
「ふたつ、ちょうだい」
ついに、根負け(笑)して、袋入りのえごを、二つ買いました。
こんな時いつも、輪島塗を車に積んで、長らく家を離れ、暑い中寒い中、お客様宅に外商販売していた、弊社社長以下営業諸氏の事を思い出します。
売れた時は疲れが吹き飛ぶけど、売れない時は、うんと疲労困憊する、と言っていました。
おじいちゃんも、一緒だろうな。
そして、私はいつも、ついつい余計なものを買ってしまうのでした。
さあ、どうしよう!
作り方など、まったく知らない私。
とりあえず、実家の母に電話したら、近所のベテラン漁師の奥様で、ところてんやえご作りの名人に聞いてくれることになりました。
よかった~w
もし、乾燥したエゴが、なぜか(笑)手に入った方は、どうぞ下の作り方で、美味しくて栄養満点のエゴを食べてください。
海の香りがする、おいしい夏の名物。
海藻特有のミネラル・ヨウ素・食物繊維が豊富で、凝固剤は不要。
手作りなら、添加物の心配もないし、様々な味付けに挑戦したりして、楽しく美味しく召し上がってみて下さいね。
えご の、食べ方・作り方(料理方法)
乾燥したえご30グラムでの、作り方の目安です。
1.石やごみなどが混じっていないか、2~3回水を替えて洗います。
2.少し多めの水にエゴを浸して、30~60分おいて、ふやかす(水で戻す)。
3.十分に柔らかく戻したら、ぎゅっと水を絞って鍋に入れ、700~1200ccの水を入れて火にかける。
(溶け具合や柔らかさを見ながら、お好みに合わせて水の量や時間を調節してみて下さい)
4.煮立ったら、弱火にして、静かにかき混ぜながら15~20分ほど、えごが溶けるまで煮る。
コーヒー味や、卵、あんこを入れる場合は、ここで。
(※この時、酢を小さじ半分くらいいれると、溶けやすくなるらしい)
5.エゴが煮溶けたら、冷ます容器に入れて、粗熱をとり、冷蔵庫で冷やす。
フルーツゼリーのように、果物や、火の通ったものを入れて固める場合は、ここで入れる。
海老やとうがん、シイタケなどをいれた、ごちそうゼリーみたいなのを食べたことがあるなー。
6.冷えたら、薄く切って(切り方はお好みに合わせて、どのようにでも)召し上がれ。
ところてんのように薄切りにして、酢醤油としょうがで頂くのもいいですねー
(甘味どころでは、甘い黒蜜なんかのたれやきなこなどで、ところてんを食べることがありますが、輪島では、酢醤油やポン酢にすりおろしたショウガをのせて、ごはんのおともや、晩酌のおともに、いただきますよ)
母と名人のおばちゃんたちが、私の問いかけの為に作ってくれたえご↓
作り方5の段階で、えごの溶けた状態で、こして、冷やし固めたそうで、ぐっとところてんに近い、透明感があります。
こさないで、海藻の繊維をのこしたまま冷やし固めると、もう少し固めに、色もついた感じに仕上がるそうです。
薄く切って、しょうがと酢醤油で、あっさりと食べました。
美味しかったw
水を多めにすれば、柔らかめのエゴに仕上がるそうです。
でも、えごは、てんぐさから作るところてんより、固めに仕上がるそうです。
ところてんを作る時に、エゴを少し混是手作ると、腰のあるところてんになる、そうです。
どうぞ、作って、食べてみて下さいね~
(私もやってみるかw)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂 代表取締役