漆の表面が曇った!直す時期がきたのかなぁ~

この記事は約3分で読めます。

修理の目安は、いつ?

フキンに茶色い何かがつく

先日、お客様から「フキンで拭くとフキンに茶色い何かがつくのですが、汚れでしょうか?」というお問い合わせがありました。

その理由として、本当に汚れている場合と何かが付着した場合、そして、漆が劣化した場合などがあります。

漆の劣化であれば、はやく艶上げ直しをされることをお勧めいたします。

漆の劣化なら修理を考えましょう

では、劣化と言ったってなにがどうなってどうすればいいのでしょうか。

漆の曇りは、何度も熱湯をあびるか、細かい傷か、あるいは、紫外線があたることなどによってひきおこされます。

紫外線による劣化が心配です

今、ここでお話したいことは、紫外線による漆の劣化についてです。

漆を塗ったところは、ウルシオールの重合により硫酸や塩酸、王水にも負けない強固な塗膜を形成します。

ところが、太陽光や蛍光灯などの紫外線があたると、この重合が切断されて、光沢がなくなり、その後、濡れたタオルで拭くと茶色い泥のようなものがタオルに付き、そして、粉が噴いたようになっていきます。

その段階を細かく書いて修理の目安と合わせてお話させていただきますと以下のようになります。

水滴が帯状に広がる

①艶はあるが、濡れたタオル(これは使い古しのタオルを力一杯絞ったものを使います)で拭くと、水滴が帯状に広がって、なかなかきれいに拭き取れない。

この段階はまだ艶上げ直しをしなくてもよいと思います。紫外線をよけるためのカバー(専用の座卓カバーがあります)で覆っておくと劣化が遅くなります。

もやがかかったようになる

②靄(もや)がかかったようにつやがなくなる。

この段階で修理(艶上げ直し)をすると90%以上の確率で元の艶に戻ります。

茶色い泥のようなものがつく

③濡れたタオルで拭くとタオルに茶色い泥のようなものが付く。

この辺は、少し付くからすごく付くまでたくさん段階があります。少し付くという段階であればきれいに艶が上がりますが、すごく付くになってくると艶は80%くらいまで艶上げ直しをしても下がってきます。しかし、艶がなくなってどうしようもない状態から見れば、新品のように見えることと思います。

表面が粉っぽい

④表面が粉っぽい。

ここまでくると、艶上げ直しというよりは塗り直しをお勧めいたします。注意点は塗り直すと蒔絵や沈金がなくなってしまうということです。しかし、ものは考えようで、今までの蒔絵は飽きたから、この際、別の柄にかえるとか、今度は、傷の入りにくい仕上げにするとかできます。一番の利点は数十年も経っているので漆が硬くなっているとういことです。新品で買うよりずっと硬くなっており、その点は、年月の成せる技ということになります。今、木地から作って製品に仕上げても、ここまで硬くする方法は現在ありません。新品を買うより安く、また、より高品質の輪島塗が手に入るということになります。

修理の目安は②の「もやがかかったような状態」

長く書いてしまいましたが、では、修理の目安はいつでしょうか?

それは②の「もやがかかたちょうな状態」です。

この段階が一番よいと思います。①だともったいないですし、③だと元の艶に戻る可能性が低くなります。

一番気になるところは金額だと思いますが、これも、実は、①と②は同じ金額なのです。③になると少し高くなってしまいます。

私たちの会社ではこの③のところに結構段階がありまして、ある程度であれば①や②の時と同じ金額で修理を承っております。

その辺は微妙なところなので画像をお送りいただいて大体の金額をご連絡させていただいて、その後、実際に品物を拝見してから確定した金額をご連絡いたします。

お問い合わせはこちらからどうぞ
https://www.taigadou.com/wpcontact/

まずは、状況を知りたいので写真も添付していただけると当方としても判断しやすいです。