この前、テレビを見ていたら樹脂成形の素地を使った漆器を作っている会社が出ていた。取材している人が樹脂で成形している工場の現場を見て伝統工芸はすごいみたいなことを言っていました。えっ?!伝統工芸?聞き間違いかと家族に聞いたら、やっぱり、そう言っていたということになりました。ふらーっと行った取材でもやっぱり正しくお話をしていただきたいものだと思いつつ、その反面、まあ、伝統工芸の認識ってこんなもんなんやろなと実感しました。
そういえば、樹脂成形して化学塗料を吹き付けたお椀などもあり、それを漆器と言っています。その名前に書いてある漆すら使っていないものを漆器と言っている時点で、もはや、おかしいのです。それを、お店で漆器と言って売っている。すでに、麻痺状態です。いつからこんなことになってしまったのでしょうか。時間を巻き戻したいものですね。あーあ、ビールでも飲んで寝ますかね。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 監査役
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役