NHK朝の連ドラ「まれ」も、いよいよ終盤を迎えて盛り上がっています。
まれには、輪島の風景や輪島塗のことが、盛りだくさんで登場しています。
輪島で暮らす私は、いま、テレビで見た風景が、すぐ目の前にあることが
とても不思議な感覚です。
まれの舞台は輪島市大沢町。輪島市街地から車で約20分~。
輪島市街より海岸線に出て、海に沿って走ります。
だんだんと、坂を上るように標高が高くなります。
ところどころ、車一台がやっと通るほどの細い道もあります。
でも、だいじょうぶ。
輪島市街地よりまれのロケ地(大沢町)へのバスが出ていますので、
乗られるのが安心かも。(注:混雑時にはマイカー規制があります)
だんだん、集落が近くなっていくと、道は下へ降りていく感じです。
景色はずっと、右は山、左は断崖絶壁に青い海です。
あーー、見えてきました。まれの故郷の村、外浦村(大沢町)です。
連ドラのオープニングに登場する、赤い灯台が見えてきました。
間垣は、暴風を防ぐための竹でできた、垣です。
間垣で守られた村です。
「民宿おけさく」の看板が、ありました。ドラマの舞台・がんじさんの民宿です。
ここで、注意。がんじさんの塩づくりのシーンがありますが、あの塩田は
輪島市の隣の、珠洲市にあります。ドラマでは家のとなりのような感じでしたが、
実際は、輪島市街地より約30分の珠洲市です。
方角は大沢町とは反対の海岸線を海沿いに行きます。
千枚田をこえて、ずんずん行くと、塩田の見学ができます。
また海岸線をもどって、輪島へ帰りました。
輪島にも新しい見どころが完成しています。
金沢への北陸新幹線が開通し、連ドラ「まれ」の放送もあり、
沢山の観光のお客様をおもてなしするためです。
輪島塗会館は、輪島漆器商工業協同組合(輪島漆器組合)が運営しています。
一階の加盟店の売店には、様々な輪島塗がならび、美を競っています。
百貨店ではなかなか一同にこれだけの輪島塗を見ることはできないでしょう。
二階には資料館があり、塗の工程の紹介や貴重な輪島塗などの展示があります。
輪島漆器組合には、輪島の漆器職人や塗師屋(ドラマでは、けいた君が塗師屋の親方を演じています)が、130あまり加盟し、輪島塗の伝統や製法を守っています。
漆器組合の大切な仕事のひとつは、輪島塗にかかせない「地の粉(じのこ)」の生産と保護です。
地の粉は、輪島塗の堅牢で優美な塗りを活かすための、大切な下地に使用される、珪藻土を焼いた粉です。
漆に混ぜて下地を施す技法が、輪島塗の特徴の一つで、強い輪島塗を生み出しています。
漆器組合に加盟している職人や塗師屋だけが、地の粉を購入することが出来るしくみがあり、
先人が培った大切な資源を守りながら、使用されています。
輪島塗の見分け方や、どうすれば本物を買うことができますか、等のご質問がよくあります。
まずは、信頼のできる塗師屋や販売店をみつけること、と、申し上げています。
科学的に調べる方法はありますが、実用的ではないです。
まれの中でも登場していましたが、手間暇をかけ、何層も塗りや研ぎの工程を繰り返す輪島塗は、中身が見えません、かかった時間も見えません。
でも、長い時間を経て行けば、違いは出てくるものです。
製造販売した塗師屋は、長い年月のあいだ、ご愛用頂いた輪島塗を、また気持ちよく末永くご使用頂けるように、メンテナンスを致します。
その時に、もし手間を省いていれば、つけがきます。
(輪島塗なら、産地・輪島のどこの塗師屋でも修理致します)
修理やメンテナンスができて、親子孫の何代にもわたって修理やメンテナンスを繰り返しながら、使い続けて頂きたいと願った、先人の創意工夫から生まれた数多くの工程が、輪島塗を生み出しているからです。
漆器組合に加盟しているかどうかは、登録番号を確認していただければわかります。
商品には、素材や製造者を記載しています。みな、責任を持って出荷しています。
輪島は、港(マリンタウン)の開発整備も行われています。大きな客船が寄港できるように整備していて実際に運用が始まっています。
マリンタウンには、キリコ会館が生まれ変わってオープンしています。
きりこは、輪島など能登の祭りに使用される、神輿の行く手を照らす役割を持ちます。
能登各地の大小さまざまなきりこが、沢山展示してあり、輪島の祭りの雰囲気も感じることができます。
これは、輪島漆器大雅堂のきりこです。朱塗りのキリコで、展示場の入り口に飾っています。
文字は、「雪月花」人間国宝・前大峰の字です。裏面の龍の絵は、蒔絵師・濱高悦朗です。
まれに度々登場した、赤いいろは橋です。輪島塗会館の前の橋から見えます。
いろはにほへと、が、あちこちに、難しい漢字でもかかれていますので、見てみてくださいね。
ドラマでまれが務めていた輪島市役所と三角洲(通称)です。ドラマでは、まれとみのりがお昼のお弁当を食べていた石段が見えます。
川には、大きな鯉が沢山住んでいます。かもやサギもいます。
お弁当を食べる時には、とんびに注意してくださいね。
NHKの連ドラ「まれ」には、輪島市民も多数協力しています。
オープニングの村人のエキストラをはじめ、お祭りや朝市などそこここに、知っている人がちらっと登場するのも、楽しみでした。
私共・輪島漆器大雅堂も、協力したかったんです!
で、出来ることがありました。よかったw
ドラマの中で、紺谷弥太郎の塗師屋の家の、食堂。皆が集まって食事するシーンに
弊社の漆額がちょこっと、出演しました(うれしぃーー)
どこにでていたでしょうか?(私は見つけたので、満足ですw)
一番うれしかったのは、この漆額パネルが帰ってきたときに入っていた段ボール箱です。
これは、横浜のまれちゃんに、村から特産物が送られてきたときの、あの段ボールだ、と
すぐにわかりました!宝物ですw
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂 代表取締役