黒龍
不動明王の変じた龍で、倶利伽羅龍王とも言われます。その長さは十万由旬、口から吐く息の音は万億の雷が一時に轟くばかりの凄まじさのためこれを聞いた悪鬼魔性の輩はたちまち滅びると言われます。
龍の持つ珠を如意宝珠と言い、毒も毒にはならず火に入るも焼かれず水にはいるも溺れず、これを持つ者は福徳果報きわまりなしと言われています。意の欲する如くにあらゆる宝が出てくる珠です。
輪島塗の額装は、通常、黒地に金色の絵が多いのですが、黒龍を現すために背景を白にしました。白と言っても真白にはならず乳白色です。漆そのものが精製したものはベッコウ色(濃いほう)なのでどうしても、この様な色になってしまいます。点彫、線彫、こすり、など様々な技法を駆使して仕上げられています。水墨画のような雰囲気と沈金ならではの繊細さ、そして、力強さを感じます。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 監査役
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役