塗師屋の子供たち「輪島塗で自炊も楽し」
娘の今日の夕食は、お茶漬け、って、これだけ? かわいそ~(涙)
具もなにも、入ってないよ!?
何か食べ物、送ろうか?
ユニバーサルデザインの輪島塗の開発
この椀(マグカップのような)は、「ユニバーサルデザイン」の考えを元に父が開発・製作したもの。
若者(娘)にとっては、難しく考えているわけでなく、単純に、手軽で使いやすいようです。
こだわりは持ち手の形です。
椀を持ちにくい方にもお使い頂ける椀。
握ることができれば、握って使います。
出来ない場合は、4本の指を通して親指をひっかければ、持つことが出来る、と考えました。
椀の材質は、「栃(とち)」茶托などに使用する栃の、軽い部分の木地を使用しました。(栃の木には、軽い部分と重い部分があるそうです。)
持ち手は、「朴(ほお)」柔らかく成形しやすい木地です。
椀と持ち手は、輪島塗の塗の工程の中で、漆で固着し、仕上げていきます。
形状が変わっていますので、木地の製作から通常の椀よりも価格が高くなり、塗の工程でもより手間と時間がかかりますので、とても高価な椀になってしまい、販売には至りませんでしたー。
こうして父の、刻々と移りゆく時代にあった、新しい輪島塗の開発は、続くのでしたー。
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂 代表取締役