加賀蒔絵は、豪放華麗な桃山芸術のうちから生まれたもので、
技術の直系は加賀百万石の温床に
三百数十年育み残されてきました。
池田喜一氏はこの正統加賀蒔絵師・二代井波喜六斉の門に
久しく訓育を受けその奥義を会得した
数少ない技術保持者の一人であります。
氏の作の特色は、単に加賀蒔絵の古典を再現するに止まらず、
基礎技術の上に新感覚を巧みに取り入れ、
現代作品として脈々として生気に溢れている所にあると思います。
昭和25年日展工芸部に初入選、26年日展出品作「清流の図・屏風」は、
斬新な構図と明快な色漆を縦横に使いながら、
奥深い古典技術の潜在が見られ、出品漆芸作品中、最高の傑作と評されました。
果せるかな審査席上、全審査員一致特選の栄誉が与えられました。
27年以降も引き続き毎年秀作も発表、我が国漆芸代表作家として
大成する日も近いものと思われます。
彼の今後の活躍が大いに期待されて居ます。
(推薦の言葉・石川県美術館館長 高橋介州)
略 歴
昭和24年 現代美展入選(授賞)
25年 日展入選
現代美展入選(最高授賞)
26年 日展入選(特選)
現代美展入選(最高授賞)
27年 日展招待出品に推選
日本貿易展(最高授賞)
28年 日展入選
現代米国展招待出品
29年 関西美展 招待出品
30年 現代美展 招待作家として推挙
32年 現代ソ連展出品
36年 日展入選
39年 日展入選
52年 伝統工芸展入選
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 監査役
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役