輪島漆器大雅堂の矢立・菊尽くし蒔絵の写真が、テレビ番組で紹介されました。
番組は、松尾芭蕉を尊敬する海外の方が来日する内容で、松尾芭蕉の銅像が持っている矢立の説明の為に輪島塗の矢立の写真が使用されました。
矢立(やたて)とは?
その昔、武士が戦場で矢を立てて運んだ道具に帷子(かたびら)があります。
その帷子の中に入れて持ち歩いた硯を「矢立て(やたて)の硯」と言ったところから、携帯用の硯・筆をセットにし便利に改良された物を「矢立て(やたて)」と言うようになりました。
輪島塗の矢立は、木でできています。
蓋の開閉のための仕組みに、大変細かい工夫をこらしています。
野外で見る美しい花や、素晴らしい景色に心が動かされた時、すぐに書きとめる事が出来るように、携帯用の筆と墨壺が使われたのでしょう。
輪島塗の矢立の付属の筆には、象牙を使用しています。
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂 代表取締役