この花の名前は、実は、、!!さすが人間国宝!

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暑くて庭を眺める余裕がなかったんです(涙)

暑い日が続き、ついつい外へ出なくなっていたら、ふと気づくと、輪島漆器大雅堂の鮮やかな紺色の紫陽花の花、見頃が終わっていた、、、。ざんねん、、、。
家の紫陽花は、薄い水色で大輪の花が咲くのですが、会社の紫陽花は、小ぶりでしゅっとして、花の色は濃い紺色、とても涼やかで美しく、毎年楽しみにしていたんです。
今年は梅雨の終わりから晴天が続き、ここの所は連日30度をこえ、今日の予想最高気温は35度!
これはもう、北国・輪島ではないでしょ(涙)
という訳で、今年は紫陽花の見ごろを見逃してしまいましたーー。

輪島塗に咲く紫陽花を思い出した

 
紫陽花(あじさい)と言えば、沈金の人間国宝・山岸一男先生の紫陽花の風炉先屏風があります。
 
繊細な、そして緻密な先生の仕事の特徴がよく表現された風炉先屏風です。
風炉先屏風とは、お茶の道具のひとつです。
山岸一男先生の作品の中では、大型作品となるこの風炉先屏風には、几帳面に整然と並んだ紫陽花が片面に14輪、両面で28輪、美しく咲いています。
人間国宝山岸一男作 風炉先屏風

人間国宝山岸一男作 風炉先屏風

沈金は、塗面をのみで彫ります。
千の交差するところは、大変難しい技術ですが、その交差した格子状の模様(大小さまざま)が多数用いられた紫陽花の花は、顔をくっつけて、じっくり眺めたいほど。
この沈金の技を活かすには、塗面がしっかり塗り仕上げられている事も大事です。
 
写真を撮りましたが、屏風は二つ折りなので、輪島塗の美しい塗面が互いに写りこんで、美しい花が倍増して見える、不思議な空間になりました。(下手なだけかー)
 

さて。間違いがありました。

ここまできて、重大な間違いがありました!
実は、山岸一男先生に伺いましたら、この花、紫陽花ではありませんでした。
す、すみません、、、。
 
では、何の花?
 
答えは、「菱(ひし)」の花だそうです。
 
??? 勉強不足で初めて聞きました(涙)
沈金「菱」

沈金「菱」

花言葉は、「秘めた思い」

菱(ひし)は、水中植物。

菱型の葉が放射状に広がり、中心に白い、花径1cmほどの小さな花が咲くそうです。

また、これも菱形の実

がなるそうで、ここから「菱」の名がついたそうです。

調べると、日本全域にみられる花のようですが、私は見たことがありません。

あるものを描くのが信条

山岸一男先生に伺ったことがあります。

空想の物を描くのではなく、そこに実際にあるものを、良く見て描くのが信条だ、と。

良く目にするような紫陽花ではなく、水辺にひっそりと咲く、形の美しい「菱」を題材にされたところからも、様々なものを観察される先生なればこそ、と感激しました。

庭に大きく花開く紫陽花でさえ、目に入らないような私には、この可憐な花は目に留まらなかったことでしょう。(とほほ、おはずかしい)

 

観察の積み重ね、そして修練の積み重ねがあればこそ、人間国宝につながるのだなー。

一口で言うけれど、長い長い道のりだろうことは、想像できます。

素晴らしい。感激です。

 

菱(ひし)の花、勉強になりました。