お客様からの問合せ
Q:オークションで買った輪島塗の衝立(ついたて)が、大変汚れていて、布で拭いたらしみのように余計に汚くなった。きれいにすることはできますか?
A:はい、できます。
オークションで買っても百貨店で買っても、輪島塗であれば修理は可能です。
(修理のこつは、あまりひどくならないうちに修理する。期間も短く、価格も安く修理できます)
使っていたものが不要になり、捨てるのではなくオークションで、新しく使ってくれる方に売却する。リユースですね。
リユースは、輪島塗にとっては、大変良いことです、そして輪島塗にはとても向いています。
修理に来る輪島塗には、古くても状態のいいものもあれば、比較的新しくてもとても劣化が激しいものもあります。(この状態の差は、取扱いの差に有ります。)
それぞれに修理の方法が違います。
輪島塗は、土台(木地や下地)のつくりがしっかりしていますので、たとえ表面が汚く劣化していても、ふたたび表面を美しく再生できたり、たとえ表面が元のままに再生できないほどひどくても、表面の加工をやり直して生まれ変わらせることが出来ます。
表面の加工とは、蒔絵や沈金、そして無地に塗り直し、乾漆や石目・布目などに加工し直す、等を言います。
他の方が使っていたままのリユースではちょっと抵抗がある、という場合でも、表面を美しく磨きなおすなど、輪島の産地で少し手をかければ、また末永く気持ちよくご愛用頂けるようになります。
それぞれの場合に、修理代金は変わりますので、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
◎オークションで輪島塗を買う時の注意
オークションで輪島塗を買う時は、自宅までどのようにして送られるか、が大変重要です。
オークションでは、一般の個人の方が販売されることもあり、梱包がうまくできるのかが大変心配です。特に衝立のような大型の家具の場合は、重さもあり、注意が必要です。
せっかく買われた輪島塗が、運送中に傷や割れ・欠けなど不慮の事柄に見舞われないように、しっかり梱包してもらわないと、とても心配です。
こちらのお客様の場合は、オークションで購入し、ご自宅へ送られてきた包みと同じようにして包んで、運送便で弊社へ送ってこられました。
弊社に届いた時には、梱包があまりに簡単で、そして一部中身が見えてしまっていて、中がはたしてどうなっているのか、怖くて開ける事ができませんでした。
その後、お客様がご来店下さり、立会いの下で包みを開けると、衝立の下面に何かにあたったと思われる打ち込み(割れに近い)が発見され、ショックでした。
これは、表から見えにくい下部分ですので、漆で埋めて部分修理をすることになりました。
また、表面の美しい蒔絵や塗りの部分は、紫外線による漆の劣化が大変ひどかったのですが、再生不能までではなく、蒔絵をそのまま美しく修理することになりました。
◎無事に修理が完了し、お送りしました(お預かり期間約3か月)
3か月お預かりして修理が完了し、段ボールと発泡スチロールでしっかり梱包して、お客様にお送りいたしました。
「見違えるようにきれいになり、しばらく眺めていました」と大変お喜び下さり、
「オークションで買って自宅に届いた時には、かなりいたんでいて、どうしようかと思案していた」
「手入れして使い続ける大切さを再確認できました」
「この先も輪島塗が、日本が誇る技として続きますように」と、嬉しいお言葉を頂きました。
どうぞ末永くご愛用下さいませ。
また、何十年かしたら、輪島に修理に出してくださいね。
輪島の産地が続く限り、修理は可能でございます。
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂 代表取締役