輪島市は、敬老の日にはプレゼントをくださいます。
長寿のお祝いの品です。(そういえば、何歳からだったかは忘れました。)
あれ、これは、敬老の日に輪島市文化会館で催される老人会のお饅頭やお弁当だったかな?
それで、80歳・88歳・100歳の方には、特別な贈り物が用意されるそうです。
80歳は、傘寿(さんじゅ)
88歳は、米寿(べいじゅ)
100歳は、百寿(ももじゅ・ひゃくじゅ) という、それぞれ節目のお祝いの年です。
同居する主人の母は、88歳。
輪島市から敬老の日の贈り物が届きました。
輪島市から、特別なお祝いが届きました。
あざやかな朱塗りに美しいツタ蒔絵の汁椀です。
これまでは、外側が黒塗り・内側が朱塗りの、無地(蒔絵なし)の椀を使っていました(大雅堂謹製の)が、せっかく頂きましたので、その日から早速使っています。
長く愛用したこれまでの無地の汁椀は、表面の漆が使い込んだ風合いになっていて、これはこれで良いものですが、新しい輪島塗の椀は、蒔絵が付いていることもあり、呂色というつやをあげる(←つやを出すという意味です)工程が施されていますので、それはそれはつやつやと美しく輝いています。
その新しい椀が一つ加わっただけなのに、食卓がぱっと華やかになったような気がします。
また、母の顔も明るく映るように感じられます。気分がかわるって、大きなことだなー、と感じました。
あ、ここでひとつ。
おばあちゃんだからこそ、鮮やかな朱塗りを
私は、年上の女性に贈り物をするときは、年齢よりも若々しいイメージのものを選ぶようにしています。
普段、自分にお気に入ったものを買い求めるときは、大体同じような色合いが多くなると思います。
なので、贈り物の時には、ご自分で買わないような色合いで似合いそうなものを選びます。
少し明るい色の方が、女性は喜びます。若々しく感じますから。
反対に地味なものを差し上げると、包みを開けた時の喜びが半減するように思うんです。
いつまでも明るく鮮やかな色を身の回りにおいておけば、顔色もさえて明るく見えるように思います。
私だけかもしれませんが。
で、この椀は、輪島漆器大雅堂株式会社の制作した輪島塗ではありません。
輪島市からの敬老の日の贈り物の輪島塗の椀は、だれが作ったの?
輪島漆器商工業協同組合が制作しました
これは、弊社・輪島漆器大雅堂株式会社も入っています輪島漆器商工業協同組合が、輪島市からの依頼で毎年制作しています。
同組合に加入している沢山の塗師屋さんのうち、制作に携わりたい方が応募し、抽選で決まります。
これも、輪島塗業界の振興の一環です。ありがとうございます。
卓上膳として輪島塗の盆を使っています
縁が暑くてしっかりした盆を、卓上膳として使っています。
食事を並べて持ち運びが便利です。
また、箸が転がっていかないし、少しこぼれても外へ流れていかないので、これまた便利です。
この輪島塗の盆は、実は祝い盆という形で、ご祝儀の金封やお祝い品を載せて使う祝儀盆の一種として制作していたものです。
このように豪華な蒔絵が施された盆や、家紋を描いた盆は、現在はあまり引き合いがありません。
略式化されたのか、レンタルが便利になったのか、ホテルや式場などの会場で用意しているのか、、、。
輪島塗の活躍の場が少なくなるのは、大変ざんねんです。
以前は、時式に立派なお道具が使われていると、きちんとしたお宅だ、と株が上がったものですが。
モダンな蒔絵は「松唐草」
盆に描かれている蒔絵は、松と唐草をデザイン化した「松唐草蒔絵」です。
松は、長寿の象徴。雨風に耐え抜く生命力の強さを持っている松は吉祥模様です。
また、唐草模様などのつる性の植物は、古来より「連綿と続くこと」を意味する文様として好まれてきました。
長く幸せが続くように、との意を込めた「松唐草」の文様は、大変モダンでデザイン的ですが、もう何十年も前から描かれている模様です。(なんと、この盆の松唐草は、約40年前に描かれた蒔絵です)
漆黒に、金の高蒔絵がなんとも美しく、モダンで現代的にも見える盆。
毎日使うたびに洗って、拭いているときにしげしげと眺め、見とれています。
若い方には、伝統工芸品って、古臭いイメージがあるのでは?
こういう輪島塗もあるんです、それも昔から。
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂 代表取締役