酒器・扁壷(へんこ)西王母蒔絵 9,240,000円(税込)
扁壷(へんこ)は、「かたよったつぼ」、「へんぺいなつぼ」という意味です。
簡単に言うと、壷を両側からぎゅっと押さえてぺたんこにした形、です。
古来、大陸では好んで作られたデザインで、
このような形の陶器や磁器の名作も残されています。
輪島塗を、和室、洋室を問わず飾って欲しい、と思い作りました。
もちろん、飾るだけではありません。
実際に酒や水などの液体を入れて、ご使用いただける作りになっています。
ご自分のお好きなお酒を入れて、お店に預けるという楽しみ方もいいですね。
形も自慢ですが、この扁壷の見どころは、豪華な「蒔絵」です。
酒器・扁壷(へんこ)は、大雅堂オリジナルの酒器、もちろん実用品です。
この酒器・扁壺について、まずは壺の形からご説明いたします。
扁壷(へんこ)の特殊な形は、もちろん天然木でできています。
輪島では、製作の工程は分業制になっていて、それぞれの分野・手順の専門職人の手によって
工程ごとに仕上げられています。
輪島塗のもとになる「木地」の製作も、器物の形状・特色により、それぞれ
「椀木地」「朴木地」「曲物木地」「指物木地」と、専門職により製作されています。
この扁壺は、複雑な形のために、また、実用に耐える塗を施すために、形状にあった専門職により、部分的に別々に製作するという、凝ったつくりになっています。
豪華で美しい蒔絵の題材は、「西王母(せいおうぼ)」です。
西王母は、不老不死の力を与える美しき最高仙女。
西王母の桃園の、たわわに実る仙桃は、三千年に一度実を結び、これを食せば寿命が延びるという説話に基づいた、長寿を表す吉祥文様です。
この桃を食べたことで有名なのは、孫悟空。
桃園の管理を任されていた孫悟空は、仕事を怠けたばかりか、この不老不死の仙桃を食べつくしてしまったとか。
その後は、捕えられ、お釈迦様のお仕置きを受けて閉じ込められ、数百年ののちに、三蔵法師様に出会うことになります。
表面の蒔絵の背景は、天界。
蒔絵の題材として多用される、山水や蓬莱の図のように、見たこともない美しく穏やかな、不老不死の理想郷のイメージを表現しています。
蒔絵の技法は、金をふんだんに贅沢に使用し、ぐっと盛り上げた高蒔絵・金を蒔き漆を塗りこんで研ぎ出し磨き上げる梨子地(なしじ)・金地など、高度な蒔絵の技術を駆使して、仕上げられています。
また、西王母など人物の表情も、優しく美しく表現され、うっとりする出来栄え。
蒔絵だけで、一年余の時間を費やしています。
側面の模様は、牡丹唐草蒔絵。
牡丹は、花の美しさ・華やかさと香りのよさから、百花の王と言われ、富貴を象徴する花。
かの楊貴妃をはじめ、美人のたとえとしても用いられます。
一方唐草は、連綿と続くことを意味する、吉祥模様。
牡丹と唐草の模様は、「富貴繁栄が末永く続く」の意を表す「富貴万代」と称される、美しい吉祥模様です。
この酒器は、飾るだけではありません。
中に液体(お酒や水)を入れて使用する酒器ですから、一番こだわったのは、中の塗りです。
お酒が漏れたり、しみ出したりしては、役に立ちません。
蓋も、きゅっと締まるように作ってあります。
調節の具合が大変難しかった所でもあります。
もちろん水洗いOKです。
この酒器・扁壺で、お酒を楽しみながら、模様や形に盛り込まれた様々な物語をお楽しみください。
会話もはずみそうです。
蓋にも、不老不死の仙桃が蒔絵してあります。
この扁壺に入れるお酒や水は、不老不死の妙薬の味がする、かもしれませんね。
そこにあるだけで、存在感のある酒器・扁壷(へんこ)は、和室にも洋間にも似合う調度品としても素晴らしいものです。
欧風のアンティーク家具にも引けを取らない、美しく優雅な酒器・扁壷。
至福の時をお楽しみください。
酒器・扁壷 西王母蒔絵 9,240,000円(税込)
幅15 高さ22.5 奥行き6.8cm
輪島塗は、約600年の歴史を持つ、JAPANとも呼ばれる漆器の最高峰です。
輪島塗のその工程は、23工程・124以上の手数を経て作り出され、堅牢さと優美さを兼ね備えた日本の誇る伝統工芸です。
600年の歴史は、脈々と今日に受け継がれ、数多くの職人達の腕に宿っています。
世界に誇る、輪島の技術と知識は、輪島塗の艶・手触り・口当たりの良さに現れ、人々を魅了し続けています。
昔の職人技に負けない、後世に残る仕事がしたい。大雅堂。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役