屠蘇器・重箱セット 溜塗 704,000円(税別)
屠蘇器や重箱は、お正月にかかせない迎春用品です。
新しい年の初めに、健康や幸福を願ってみなで囲む食卓に、
輪島塗の屠蘇器・重箱が華を添えます。
古くから続く風習は、新年のすがすがしい雰囲気や特別な思いとして
輪島塗のあでやかさとともに、それぞれの心に残り、
家族の暖かい思い出は、末永く受け継がれ、続いていく。素晴らしいことです。
重箱は、ふたを開けると、おめでたいいわれのおせち料理が並び、
ふたをして保存もでき、持ち運びも便利で重宝なものです。
この重箱は、2段で、長角型、大雅堂オリジナルの重箱です。
特徴は、通常の重箱は全体で(三段重とか四段重とか五段重とか)一つの模様を活かすために、
一段ごとにすきまがありません。
すきまがない、から、ちょっと持ちにくいと思われたことはありませんか?
お料理が満載だと、重さも加わり、また、重箱の足の高さの分だけ持ち上げないとはずれないので
持ちにくいことがあります。
この長角型の重箱は、一段ごとにすきまを設けています。
このすきまが、指のかかりを良くし、大変持ちやすくなっています。
そして、一段ごとに使っても、すっきりと美しい「盛り器」のようにお使いいただけます。
重箱の活躍する機会を、お正月だけでなく、普段にも広げた
新しい重箱です。
蓋をあけると、ここが工夫したところです。
重箱のふちが、まっすぐズバッと切っていない、素敵なカットになっています。
こうすることで、一段一段のおさまりもよく、ふたもずれなくなりました。
ささやかな工夫ですが、効果大です。
輪島塗は、約600年の歴史を持つ、JAPANとも呼ばれる漆器の最高峰です。
その工程は、23工程・124以上の手数を経て作り出され、堅牢さと優美さを兼ね備えた日本の誇る伝統工芸です。
600年の歴史は、脈々と今日に受け継がれ、数多くの職人達の腕に宿っています。
この輪島塗り重箱「しろがね」も、輪島の技術と知識が作り出す、美しく実用的な重箱です。
おせち料理は、お正月三が日台所に立たないように、と作られた保存食とか。
現在のように年末年始も開いているお店もありませんでした。
では、どうして漆の重箱につめたのでしょうか?
先人はきっと、漆の抗菌効果に気づいていたのでしょう。
現在はその、漆の抗菌効果が、科学的に証明されようとしています。
先人は素晴らしい文化を残してくれたものです。
屠蘇器は、お年始のお客様や家族で、
おめでたいお屠蘇を頂くために必要なものが揃っています。
お屠蘇(おとそ)とは?
屠蘇は、もともとは薬だったそうです。
山椒・大黄・白じゅつ・桔梗・細辛・乾姜・防風などを三角の紅の帛衣に入れて、
酒やみりんに浸したもの。
唐の時代に医師が流行風邪のための薬として作ったものが
おいしくて評判になり定着した、と言われます。
屠蘇(とそ)とは、「邪気を屠絶し、人魂を蘇生させる」 ということで、
一年中の邪気を祓い延命長寿を願うために飲む酒です。
美しい蒔絵が、いっそう晴れやかな迎春の時を演出し、
新しい一年の門出を、幸多かれと祈念します。
屠蘇器の形は扇型です。
扇面(扇)は、日本で作られた日本特有のもので、
末が広がる形から 「末広」 ともいい、
発展や拡大を意味する縁起のよいもの、とされ、
古来より愛され続ける吉祥模様です。
溜塗(ためぬり)は、黒や朱塗りより、1回多く手間がかかります。
はじめに朱漆を塗り、次に朱合漆(しゅあいうるし)というべっこう色の漆を塗っているからです。
その雰囲気は、戦前の天皇陛下の御車が溜塗であったように、高貴で落ち着いていて華麗です。
展示場のスポットライトの明かりでとった写真では、
縁がより赤く透けていますが、通常の明かりの下ではこのような感じです。
経年とともに、より明るくなっていきます。
溜(溜塗り)とは
中塗りに朱漆を塗り、上塗りに朱合い漆という半透明の漆をぬる技法。
漆は時間が経つにつれて透明度が増してくる、という特性を生かし、
中塗りの朱が漆が薄くのるふちのほうから透けて、
落ち着いた中にも華やかさのある、雰囲気をかもします。
経年の変化を、逆に楽しみにしていただきたいものです。
この溜塗りの屠蘇器や重箱は、上塗りの漆の底艶を活かすため、
呂色仕上げを施していません。
漆の上品で柔らかいやさしい艶を、お楽しみいただきたいためです。
輪島塗のイメージとして、「顔が映るようなピカピカの塗り面」を
思い浮かべられる方も多いと思います。ですが、無地の場合は、
形や色艶・存在感を際立たせる呂色なし、も、大変良いものです。
また、長くお使いいただくうちに、どうしても細かい使い傷が付いてしまいます。
そんなときに、改めて呂色仕上げをご用命いただけましたら、
細かな傷は直りますし、新しいものを求められたようにイメージがかわりますから、
また、違った楽しみとなることでしょう。
輪島塗重箱 溜塗り (長角型二段)1組 297,000円(税込) (桐箱入り)
寸法:幅27.5 奥行き21.4 高さ16.5cm
輪島塗屠蘇器 溜塗り (新扇型)1組 407,000円(税込) (桐箱入り)
寸法:最大幅52 最大奥行き29 銚子の高さ19.5cm
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役